地平線を追いかけて満員電車を降りてみた
『自分と向き合う物語』
こんにちは、いつもブログを読んでいただきありがとうございます!今回ご紹介するおすすめの本は『地平線を追いかけて満員電車を降りてみた 著:紀里谷 和明』です!
地平線を追いかけて満員電車を降りてみたのご紹介
簡単なあらすじ
この物語は、映画監督や写真家で有名な紀里谷和明さんによって書かれています。
全部で五部構成になっており、それぞれの章で悩みを抱えた人物が登場します。
この物語には、とある劇場とその支配人が存在します。その劇場は悩みを抱えて行き詰っている人の目の前に忽然と姿を現します。
そして、その中にいる劇場の支配人。何とも不思議な感じの支配人ですが、とても口調は穏やか。しかしながら支配人が語りかける言葉は本質を見事ついてきており、グサグサと登場人物の心に突き刺さっていきます。
読者である私たちも、まるで自分が支配人に言われたかのように感じてしまうので、読む前には多少の覚悟がいるかもしれません(笑)
支配人は、特別に登場人物に新しいことを始めなさいといったようなことは言いません。あくまで自分自身と語り合う場を設けて、それをサポートしてくれる立場にあります。
物語形式でスラスラと読めますので、物語の展開も楽しみに本を読まれてみてください。
謎の支配人によって登場人物がどのように変化していくのか?とても見どころ満載の本だよ!
成功したいあなたへ
ぼったくりの店で被害にあった翔太は、店員に殴られてゴミ捨て場に倒れてしまいました。
ふと気が付くと、そこは不思議な劇場の中。そして一人の老紳士がグラスにコポコポと水を注いでいるのが見えました。
頑張って転職して有名なIT企業で順調に成果を出してきたのに…やはり社長にならなければいけないなと翔太は老紳士に話します。
すると老紳士は、「なぜ社長になりたいのですか?」と翔太に問います。
もちろんお金が欲しいからです、タワーマンションでパーティーをしたり、フェラーリを乗り回したり…と話す翔太。
すると老紳士は、「私も昔、あなたのように富に憧れ、実際に経済的豊かさを手に入れたことがあります」と話します。
翔太は、それはすごい、お金持ちっていうのは最高の気分でしょ?と老紳士に話しますが、老紳士は全く心地よいものではなかったと翔太に話すのでした。
なぜ老紳士は不自由ない経済的な豊かさを手に入れたのに、心地よくなれなかったのはなぜだろう?
自分を好きになれないあなたへ
女優を目指している優子は、その日人生で33回目のオーディションに落ちてしまいました。
人生に悩み、行き詰ってしまった人の前に忽然と姿を現す劇場があると噂を聞いていた優子は、オーディションに落ちたその日にその建物を見つけました。
しかし、そんなことあるわけないとあきらめかけた瞬間、「大丈夫ですか?」と老紳士から声をかけられます。
劇場の支配人を名乗るその紳士は、優子を劇場に招き入れます。
女優になりたくてオーディションを受けるも、全敗です。努力しているのに、事務所も弱小で…と老紳士に話す優子。
すると老紳士は、「あなたはお芝居が好きなのですか?」と優子に問います。
もちろん好きだと答える優子。すると老紳士は、「それならば、なぜ悩む必要があるのですか?お芝居が好きならば、道端でお芝居をするだけでハッピーではないでしょうか?」と優子に言います。
「道端でお芝居をしたいわけじゃありません!私は女優になりたいんです!」と答える優子。
すると老紳士は答えます。「『女優になりたい』?つまり肩書きが欲しいのですね?」
『お芝居』が好きなのか?『女優』が好きなのか?一緒のようで、実は明確な違いが見えてくるね!
やりたいことが見つからないあなたへ
瞬は、同じ会社でデザイン部で働いている同僚の茉莉から会社をやめるという話を聞きました。それは、独立して夢だったイラストレーターになるからとのこと。
「よかったね、おめでとう」と言葉をかけて、再び仕事の席に戻る瞬でしたが、なぜかメールの続きを思うように打てなくなりました。
しかたなくパソコンの電源を落とし、帰路に就く瞬でしたが、なぜかいつもの駅舎が見えてきません。いつもなら5分で着くはずなのに。
道を確認しようと軒下に入ると、そこは小さな劇場がありました。
こんな劇場あったっけ?と不思議に思っていると、「寒いから中へどうぞ」と劇場の支配人を名乗る老紳士に招かれます。
同期の子が夢に向かって一歩を踏み出せて嬉しかったと、今日あったことを瞬は老紳士に話します。すると老紳士は
「嬉しかった?不思議ですね。あなたの顔が少し悲しそうに見えますが」と瞬に話します。
瞬は、自分はいつまで遅くまで残業して、このようなことを続けるのだろうと感じたことを老紳士に話しました。
「やりたい仕事を仕事にしろって他人は言うけど、仕事ってやりたいことじゃないとダメなんですか?」と話す瞬。
そこには、茉莉に対してうらやましさがあり、その反面、自分には夢がないこと、夢を持つことが生きる上での大前提科のような風潮を疎ましく思っていたのでした。
すると老紳士はこう答えます。「夢は、持たなければいけないものではありません」
夢を持つことは尊いことだけど、夢を持たなければならないという根拠は何一つないよね。
この本を読んだ感想
この本を読んだ率直な感想としては、何か自分自身からおもりが取れたような、すごく身軽になったような感じがしました。
今現在の自分を変えたいと思うことは誰にでも存在することで、それを行うことはとても素晴らしいことです。
しかし、それを本当に心から『自分自身が』そう思って変えたいと思っているのか?それとも、本心は違うけど、他人の影響などから変えなければいけないと思っているのか?この違いは天と地ほどの差があるのではないかと思いました。
私たちはよく他人と比較して自分の立ち位置というものを考えてしまう傾向にあります。私自身も例外なく当てはまります。
よく言われるのが最近ではSNSです。幸せそうな他人の投稿をみると、なぜ自分は…と思ってネガティブに考えてしまうことも多々あります。
しかし、大切なのは他人と向き合うことではなく自分自身と向き合うことです。
自分がどう考えているのか?自分はどうしたいのか?他人と比較する時間よりも、自分と向き合う時間をしっかり作ってあげることは、この慌ただしいご時世においてすごく大事なことだと、この本を読んで思いました。
少し人生で行き詰っている方、ぜひ手に取って読まれてください!きっと今まで以上に自分自身を愛してあげることができますよ♪
心に残る3つのフレーズ
- 子どもの心
- わがままになる努力です
- 人生とは、しょせん遊園地に入ってそこから出るまでの時間でしかない
ブログを読んでいただき、本当にありがとうございました!