運転者
『未来を変える過去からの使者』
こんにちは、いつもブログを読んでいただきありがとうございます!今回ご紹介するおすすめの本は『運転者 著:喜多川 泰』です!
運転者のご紹介
簡単なあらすじ
主人公の岡田修一は、その夜タクシーに乗っていました。タクシーの車内ではラジオで音楽番組が流れています。その音楽のタイトルは「TAXI」。
聞いたことない曲でしたが、耳障りな感じはしません。その曲を聴きながら、修一は10年ほど前の出来事が脳裏でよみがえっていました。
時は数年前。その時修一は、中古車販売会社から生命保険の営業職に転職していました。その会社の給与形態は「完全歩合制」。
最初の一年間は、自分が新規で獲得した保険料の一定割合分を給料として受け取ることができます。しかし、その割合は二年目からはガクンと落ちるため、新しい契約を再び取らないといけません。
二年目に突入するまであと二ケ月しか期間がなかった修一は、夜もなかなか眠れないようになってきました。そんなとき、社長の脇屋武史から修一は呼び止められます。
修一はすごく仕事で落ち込んでいる描写が分かるね。社長の脇屋から告げられる話とは…?
デッドライン
社長の脇屋からの話、それは、修一が生命保険の契約を取っていた学習塾20名が全員解約をするという報告でした。
その報告を聞いて愕然とする修一。とりあえずその学習塾に向かって話をするも、結局は変わりません。そのようなどん底な気分で学習塾を後にする修一に、妻の優子から電話がかかってきます。
「ねえ、分かってる?今日、娘の夢果のことで学校から話があるって」。夢果は新学期になって少しして、学校に行かなくなっていたのでした。修一は優子から学校へ一緒に来てほしいと言われていたのを忘れていましたが、仕事で抜けられないと嘘をつきました。
そして、電話をかけないといけない相手がもう1件。それは田舎で一人暮らしをしている母の民子です。優子の電話に出る前に着信記録が残っていたのでした。
その内容は、いつこっちに帰ってこられるかという話です。余裕がない修一は、苛立ちを隠そうともしないで忙しいからとそそくさに電話を切ってしまいます。
娘のこと、夫婦のこと、母のことでパンク寸前の修一でしたが、そんな修一の元に一台のタクシーが目の前に近づいてきます。
なぜか手を上げて乗車した修一でしたが、なぜ乗車したか自分でも分かりません。すると、そのタクシーの若い運転手が微笑んで言葉を発します。
「まずは娘さんの学校に急いだほうがいいんじゃないですか?」
どん底状態の修一の目の前に突如現れたタクシー。これが謎の運転手との出会いになります。
運転手
修一は行き先を一切告げていないが、車は夢果の学校に向けて走り始めています。聞きたいことは山ほどあるが、修一は何から聞けばいいのか分かりません。
適当に走ってぼったくられると思った修一は、運転手に車を止めるように伝えますが、運転手は「岡田さんが今行くべきなのは雅中学校です」と答えます。
娘の中学校どころか自分の名前まで言い当てられた修一は、恐ろしくなりました。そして、ふとタクシーのメーターを見ると『69,820』という数字が見えます。
「おい!やっぱりおまえ詐欺かなんかだな。」と声を荒げた瞬間、メーターの数字が『69,730』と下がりました。その後も徐々に減っていくメーター。
不思議に思っている修一に運転手は声を掛けます。「岡田さんは運がいいですか?」運がいい人生とは無縁だ、ついていないことばっかりだと話す修一に運転手は答えます。
「そんな人の運を変えるのが私の仕事です。」そうこうしているうちに、タクシーは目的地の雅中学校に着いたのでした。
タクシーの運転手の仕事、それは『運を転ずる仕事』。人を人生の転機となる場所へ連れていく仕事であるとのことだよ!
ポイントカード
翌日、社長の脇屋は終始無言でした。修一はその場にいられなくなり、「外回りに行ってきます」と逃げるように事務所を後にします。
さて、どこに行こう。修一が駅に向かって歩き出そうとした瞬間、自分に向かってタクシーが近づいてきます。
まさか!と思った修一でしたが、そのタクシーは昨日と同じタクシーであり、運転手も同じ顔です。「昨日の代金を払えと言うんだろ!」と声を上げて笑った修一でしたが、運転手は「そんなことは言いません。メーターが0になるまで乗り放題です。さあ、早く乗ってください」と修一に声を掛けます。
運転手は「昨日、僕と会って運が変わったって実感していませんか?」と修一に話します。「昨日の学校の面談の内容が薄く、時間のムダだった、いらいらした。」と話す修一に、運転手は「はぁ~やっぱり」と大きな声を上げます。
「運が劇的に変わる時、それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。そのアンテナの感度は、上機嫌の時に最大になるんです。逆に機嫌が悪いと、アンテナは働かない。すべての運が逃げて行っちゃうんです。昨日のあなたみたいに。」
さらに運転手は「運は後払いです。何もしていないのにいいことが起こったりしないんです。ポイントカードと一緒で、ポイントが貯まっていないと使用することができないんです。」と話すと、次の目的地であるカフェに車を走らせるのでした。
運は後払い。貯めていないと運を使うことができないという言葉は、すごく心に響くものがあるね!
この本を読んだ感想
例のごとく、私が大好きな喜多川ワールドの作品で、この本も漏れなく大好きな本です。ここからの物語もとにかく面白く、メーターが0になるまで乗り放題のこのタクシーは、修一を最適な場所へ導いてくれます。
序盤でも出てくる、『運はポイントカードと一緒で、溜まっていないと使用することはできない。』という話は私の個人的な経験からも、大いに納得できる話でした。
運が悪いことが次々に連続して起こるようなことって皆さんも経験されたことはないでしょうか?私も悪いことに悪いことが重なって、まさしく修一のようにどん底に落ち込んだ経験は、今まで何度もあるように思います。
でも、そのようなときって終始イライラして自分を見失い、他人にも厳しかったような気がしており、今となって考えたら自分で運機のアンテナを放棄していたような気がします。
逆を言えば、いいことが重なりすぎて逆にちょっと怖くなるようなあの感覚(笑)。そのような時は心身ともに充実しており、他人にも優しく接することができているような状態なのかもしれません。
1度きりの人生。せっかくなら自らの手で幸運を引き寄せて楽しい人生を送りたいものですよね!そのような人生になるよう、しっかり運のポイントを日ごろから貯めていきたいなと思います(^^♪
心に残る3つのフレーズ
- アンテナの感度は上機嫌の時に最大になる
- 運はポイントカードと一緒
- 収入がなくなっても、仕事がなくなっても終わりなんてない
ブログを読んでいただき、本当にありがとうございました!